過ぎたるは・・・
(Vol. 131 9/10/04)

ゴウ先生、本日は「本末転倒のがんばり過ぎは仇となる」という話をしようと思う。よろしいか。

このミニ・エッセイを熟読玩味している諸君であるならばよくご存知の通り、現在のこ熱血感動巨編の源泉は、ゴウ先生の生活習慣病という不治の病からのカムバック・ストーリーである。

アホなオヤジたちが痛風や糖尿病に対してナメクジのような遅さの二足歩行や他力本願のあれやこれやの薬で対処しようとするのに対して、ゴウ先生は己が体を苛め抜く時速160kmの直球勝負をしてきたわけだ。

「星くん、来んしゃい!」と叫ぶ東京女子医大の我が左門(査問?)トホホ豊作医師に対して、己が全身をフルに使って大リーグボール4号(!)を投げ込むゴウ先生に諸君の涙腺は弛み、部屋中ティッシュペーパーだらけとなってきたと確信する。

4週に1度訪れるこの定期検診こそ、まさしくそうした数々のドラマを作り続けてきた場であり、それに向けて、ゴウ先生は大リーグボール養成ギブスを全身にまとい、ロードワークにジムワーク、食事管理にセックス管理、すべてを厳密にやってきたし、やっているのである。

そうした涙ぐましいド根性による努力の結果、昨日の検診直前に我が家のアナログ体重計が、瞬間風速的にであれ、一番デブであった時よりも20kg以上も低い90kgを切る位置を指し示す結果となったのである。これは前回の検診時よりも3kg以上減量できたことを意味するのだ!

こうなれば、当然前回持ち越しとなった尿酸値の7.0切りという大目標を達成し、生活習慣病に対して全快宣言を高らかに謳い上げることが出来ると思うではないか。うまいビールをたらふく飲めると思うではないか。

しかし、世の中それほど甘くはなかった。

実の父親が親友の伴宙太を使って攻めてきたように、不条理な出来事はそこここにあるものなのだ。

前回の尿酸値が7.3であったのに、今回なんと暫定的な検査結果とはいえ、8.1という逆カーブを描いてしまったのである!ショック、ショック、大ショーーーーーック!

伴にホームランを打たれた時のように、マウンドでガクッとひざをついてしまう気分である。

思えば、この日に向ってゴウ先生は過酷な毎日を送ってきた。

831日から、ほぼ毎日10kmから20km走ってきた。たとえば、この間の日曜など、ICDPPLATINUMのクラスを終えると、服を着替えて自宅まで2時間半かけて走って帰ったくらいである。3ヶ月前の530日以来の挑戦であったが、ゆっくりゆっくりとはいえ、あの時と違って走って帰ったのである。

当然、体はボロボロである。土日にテンションの高いINDECのクラスを4クラス、それにプラス映画上映会をこなした後で、20km走ったのだ。足も脚も痛いし、腰も痛い。腹は減るがバカスカ食うわけにも行かない。星飛遊馬というよりも力石徹になった気分である。

それでもその後も月曜に10km、火曜に10km走った。水曜に至っては、午前中ウエイト・トレーニングを2時間、その上で夕方15kmの走り込みである。診察の日の木曜の朝ですら、10kmウォーキングしてから病院に行ったのである。

なのに・・・。

当然、ゴウ先生は何が悪かったのか、左門トホホ豊作先生に尋ねてみた。答はこうであった。

「ダイエットのために、りんごやバナナをいっぱい食べてたとか言ってたじゃない。一つはそれよね。果糖の取り過ぎは尿酸値を押し上げるから」

ゲゲゲゲゲ。果物もだめなのか・・・。力石徹は、痛風患者ではなかったのだ・・・。

「それから、激しい運動のし過ぎもあるわよね。汗のかき過ぎで尿から尿酸が出て行かないし、体にすごいストレスがかかってこれも尿酸値を上げる要因だから。無理し過ぎだったのよ」

なな、なんと。体によいと思ってやっていたことが、こと尿酸値の低下という第一目的に関して言えば、まったく効果がなかったとは・・・。

ゴウ先生らしからぬリサーチ不足と思い込みの強さによるガンバリズムが逆効果になってしまっていたのだ。『巨人の星』的「真っ赤に燃えるど根性」や「血の滲むような努力」を徹底的に排除していたつもりが、やっている実感に溺れて爛れて、結果よりも過程を楽しむノータリンなことをしていたのである。

つまりは、開けてはならない「苦労の扉」をこのゴウ先生が開けていたのだ。もっと楽にやっていれば、7.0を切っていたのだ・・・。

「でもね、体重は順調に減っているし、肝機能の数値はすべてすばらしいし、気にすることはないわね。次の時までにその点を修正してもらえれば、大丈夫だと思うわよ」

まあ、体脂肪率を12.5%まで下げてがんばっている患者を無下に突き放すことはなさらなかったが、ゴウ先生としては憤懣やる方なかった。

とはいえ、結果は結果である。いつも諸君に申し上げているように、ゴウ先生が信じるのは、信頼できるデータとファクツだけである。暫定尿酸値8.1が精密検査の後、6.9に変わることは万に一つもないことは過去半年の経験で実証ずみである。謙虚に左門先生の分析を信じなければならない。

しかし、原因が分かれば後はそれを取り除いた計画を立案し、実行するだけである。こうなるとゴウ先生の立ち直りは早い。

とにかく、ありとあらゆる「ど根性」を排斥すればよいのだ。科学的に冷静に事に対処すれば、結果は出るのである。

そこで、次回107日の検診時の目標体重を87kgに設定し、毎週700gから800gの減量を心がけることにした。今回のように、直前2週間で3kg以上の減量をしようとすると、ガンバリズムが仇となって、かんばしくない結果が待ち受けるからだ。

そのために採用する細かい戦術は次の通りだ。

1. 今回ストレス過多の源となった事実から、走り込みは週に3回を限度とする。

2. その分、強度を落としたウォーキングを1日最低1万歩を目標に、走り込み以外の日は毎日行なう。

3. 同時に、代謝率を向上させるために、ウエイト・トレーニングを週に2回の現状から週に3回に増やす。

4. 1日の摂取カロリーの総量上限を2500kcalとして、果物だけにこだわらずバランスよく食べる。

というわけで、ゴウ先生のリベンジは今日から始まる。苦労の扉も開けないで、星飛遊馬にも力石徹にもならずに、諸君との約束を守りきる所存だ。

107日の公式全快宣言にむけて今日も明日も明後日も戦うゴウ先生であった。ご期待あれ!

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