貧乏道は地球を救う?
Vol. 126 8/6/04

 ゴウ先生の至高の理想を表わす珍宝教は、貧乏道に支えられている。道場訓は「貧乏はしても、貧乏臭くなるな!」である。

先週の文脈が珍宝教教祖としてマナコをしっかりと上向きに据えた発言(「ヒーローぶらずに、ヒーローらしく」)であるとするならば、これはまさしく足元を固める日々のおまじないである。

そんな生き方をしている貧乏道免許皆伝のゴウ先生であるから、必要とあらば、300万円のCDプレーヤーも買ったし、100万円のDLPプロジェクターも買ってきた一方で、無駄なものには一銭も使ってこなかったし、使いたくもない。

ゆえに、日本に帰って10年、親の危篤・逝去以外で泊まり込みの家族旅行をしたのは、たった2回しかない。貧乏なのだから、貧乏臭くない範囲で、貧乏な生活をすればよいと考えれば、これが当然の帰結であると胸を張る。無理して見栄など張らなくてもよいではないか。貧乏道免許皆伝を名乗る所以である。

とはいえ、子供が不憫であるから、どうにかしてやりたいと思っていると、ありがたいことに、孫と会いたいジジババが彼らを九州の田舎に招待してくれる。その好意に甘えて、子供たちだけでも田舎の夏休みを謳歌させて、ゴウ先生は東京に腰を据えて諸君に奉仕させてもらってきたわけだ。ついてる・ついている・ついてると唱えながら。

実際、今年は長女が佐賀の田舎で1ヶ月のんびりと過ごしている。親(すなわちゴウ先生)がホーム・シックなどかかったことなど一度もない人間だから、娘も田舎の200坪以上の広々とした家でお姫様ぶりを発揮してくれているものだと思う。

というわけで、ゴウ先生は旅行というものにとんと縁がない。とにかく東京を離れない。仕事で大宮に毎週通っていたことがあったが、それを抜かすと、東京都を抜け出たのはこの10年で15回もない。日帰りの海水浴を入れてこんな有様だ。ディズニーランドもUSJもとんでもない話である。

  まず、貧乏道を極めるためには、旅行は厳禁である。無駄な出費もかさみはするが、まずもって「体験主義」という愚かな罠にはまるからである。

「中国のよさって、いかないとワカンナイですよね」

これが体験主義者のモノイイである。即座にノータリンめが!と切り捨ててやる。いつ後ろからF**k you!と罵られるのも体験しないと分からないのか!と言って。

というわけで、この情報化時代において闇雲な体験至上主義は滑稽なピエロをえんじることになることを肝に銘じておいてもらいたい。

というわけで、自分の身の丈にあった生活をしていれば、苦労の扉を開けることはなく、自然と感謝の言葉がこぼれ、そしてお金も貯まるはずなのである。とはいえ、貧乏なゴウ先生の発言だから、不肖の弟子の諸君たちはまたもや無視するかもしれない。

しかし、無視して欲しくないのは、「貧乏はしても、貧乏臭くなるな!」という生活信条だけで実にシンプルでトラブルフリーな生き方ができるという事実である。

例えば、この1週間でゴウ先生は2回映画館に行き、2本の映画を見た。『白いカラス』と『キング・アーサー』である。そしてそのために支払った料金は2300円に過ぎない。前者は金券屋で1300円のチケットを手に入れたし、後者は1日の映画の日に1000円で見た。この値段でこの2本を映画館で楽しめたのは幸甚に堪えない。ついてる人生はここにある。

(ちなみに、ゴウ先生の評価によれば、前者はA-、後者はB-である。話題を呼んでいる『キング・アーサー』であるが、まずは『スパイダーマン2』を優先させ、お金に余裕があればどうぞということにしておこう。)

見たい映画は山とある。その中から実際に見る映画を決めるのは、至難の業だ。見逃した映画に素晴らしい作品があるのではないかと不安にすらなる。実際、『白いカラス』はそういう一念で公開最終日の最終回の上映に滑り込んだ。そして見られたことを素直に感謝した。素晴らしい映画であったのだ。

だが、それを可能にしたのは、随分前に『白いカラス』の前売券を買っていたという事実である。1300円を無駄にしたくない。その一念が無理なスケジュールを後押ししたのである。正しい貧乏道の応用だと誉めてもらいたい。

こうしてゴウ先生は、貧乏であるがゆえにタイム・マネージメントに失敗しないのである。

実際、東京にはまだ名画座があるから、ロードショー公開で見逃しても映画館で見ることは可能であるし、池袋の新文芸座のように並みのシネコンよりも優れた名画座があるから、そうそう焦る必要もない。その上、ゴウ先生にはGump Theatreという秘密兵器があるから、DVD化されたものは一人でじっくり堪能することもできる。

その他のものに対する出費についても、それぞれに規準を設けており、その規準をクリアしなければ、手を出すことはない。それによって無駄がなくなり、ストレスもなくなる。

こうした考え方が今回の生活習慣病との闘病生活においてもどれだけ役に立ったか。明記しておかなければならない。

この闘病の眼目は、食生活の改善にあった。諸君もよくご存知の通り、酒を断ち、ラーメン・焼肉・モツ料理その他高カロリー食品から身を遠ざけてきたわけだ。まあ、痛風発症から5ヶ月以上経ったから、7月に入って350mlのビールを3回飲み、一度ラーメンを食べたが、後は相変わらず疎遠なままだ。

エライと言ってくれる諸君もいるが、ゴウ先生は別に特別なことをしている意識がない。酒を飲まないと無駄なお金と時間が出て行かないし、飲んだ翌日の不快感とも一切縁がない。

いまではダーティーな食べ物を摂取すると、即座に体がむくむようになってしまった。ラーメンを食べた時がそうである。またいつか食べるかもしれないが、いまのところは遠慮したい。もっとクリーンなものの方が美味しく感じるのに、わざわざ不健康なものに血道をあげる必要はないのだ。

サプリメントにしても、1年前からすれば大幅に変わった。かつてはプロテイン・パウダーなど国産至上主義を貫いて高価な製品を飲んでいたのであるが、いまでは貧乏道免許皆伝らしく世界中のサプリメント・ショップをインターネットで検索して一番安く手に入れている。

たとえば、いま飲んでいるオプティウム・ニュートリション社というアメリカ最大手のサプリメント会社の4.54kgのプロテインを78ドル(約8500円)で購入して愛飲しているから、国産プロテインの3分の1の出費で済むわけだ。貧乏道は知恵も磨いてくれるのである。ウッシッシッシ。

当然、外食などもってのほかである。相変わらず、外食と言えば、小諸そばの二枚もりそば(400円)かもりそば(210円)だ。ルチンも取れるし、減量には最適なのである。

もちろん時にはコンビニ弁当にもお世話になるが、最近はどのコンビニでも高蛋白質・低脂肪・中炭水化物という減量にはぴったりの700kcal前後の幕の内弁当を500円内外で揃えていてくれるからそれを食べる。貧乏道は世界も変えてしまったのである。ワッハッハッハッハ。

こうして、無駄な金を使いたくないという思いを支えに、ゴウ先生のダイエットは多少のプラトーはあったが、リバウンドすることもなく、順調に推移している。

同じことは運動にも言える。

完全に生活習慣病(脂肪肝、痛風、糖尿病境界型、高脂血症)から縁が切れたことが証明されるまで、減量生活を続けるつもりでいるのだが、現状通りにうまく行けば、9月の末か10月の初めに精密検査をやってもらって、全快宣言を出せると確信している。そうなった暁には、次の段階の(筋肉増強金メダル奪取作戦)計画を練ろうと考えている。

したがって、いまゴウ先生がやることは、筋肉量を維持ないしは微増させながら、大幅に脂肪を除去することによって、全体的な体重の減少を図ることなのだ。

その目的から考えれば、当然筋肉を大量につけるタイプのウエイト・トレーニングは無駄である。筋肉に刺激を与えることで、体内の代謝率がアップして、脂肪燃焼効果が上昇するのがいまのウエイト・トレーニングの目的なのだ。

したがって、ジムに通うのはいまは週に1回に過ぎない。行けば、筋肉をつけるよりも脂肪を削ぎ落とすのが目的だから、2時間以上にわたって有酸素運動的なウエイト・トレーニングを行なうことを心がけている。

こうしてジムに行く回数を減らすことで交通費もその他の経費も最低で済む。貧乏道は筋肉も作るのである。ウヒョヒョヒョヒョヒョ。

ただでさえ、ストレスフルな都会生活で自分のペースを掻き乱される病気というのは、ホントに頭痛の種である。しかし、それに対して自分のやりたいように戦えたゴウ先生だからこそ、順調に回復して来月にでも全快宣言が出せる所まで来たのだと信じる。

というわけで、色々な面で今回の闘病生活は、当初の混乱を乗り越え、ゴウ先生の生活信条に完全に基づいたものになった。

他方諸君を見ていて痛感するのが、そうした普段の生活に役立つ生活信条というものがよく見えないことだ。悪く言えば、すべての行動が行き当たりばったりと言うしかないものばかりなのである。それではストレスから潰される。突発的な病気の発症に対処できない。(今回は健康のことを書いたが、それは仕事やプライベートにまつわるすべてのストレス――顧客・上司・先輩・同期・後輩との人間関係や結婚など――にもあてはまるのだ。)

よくないことは必ず起こる。よくないことがあるから幸せもある。ゆえに、よくないことは、ついていることを起こすために必要な手続きなのだ。だからこそ、よくないことを困ったことに変えない工夫が必要なのだ

その工夫の一つが貧乏道の追究である。こんな生活信条を持っていてくれさえすれば、諸君の行動に首尾一貫したものが見えてくるはずなのだ。生活に一本芯が通れば、突発的な不快な出来事も怖くない。そういう修羅場をかいくぐることを進化の一助としてくれれば、頼もしさが増すのは言うまでもない。

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