痛風患者のひとりごと
(Vol. 103 2/27/04)

  いやあ、参った。痛風である。左足の親指の関節に激痛が走った。224日火曜の深夜のことだ。

これまでも軽い痛みが出たことはあった。その度に「ゴウ先生は金持ちしかなれない痛風持ちであるぞよ」と威張っていたものである。だが、本格的な発作の前ではそんな虚勢は通用しない。とにかく痛いのである。

水曜一日様子を見たが、素人のアサハカな対応では痛みは引かない。とうとう226日木曜には病院に駆け込んだ(とはいえ、足が痛いから、トボトボとなってしまうのだが・・・)。

尿酸値8.5!立派な痛風である。ヤブ医者に処方してもらった薬を飲んだら大分楽にはなったが、まだ痛みはある。トホホホホホホホホホホホホ。

こうなったら、やることは一つ。真犯人の逮捕である。

まずは、「ゴウ先生痛風対策本部」をGump Theatreに設置した。墨痕淋漓の看板をいかりや長介殿あたりに依頼したいのだが、さてさて引き受けてくれるであろうか(故人にご冥福を祈ります)。ついでに「事件は現場兼会議室で起こっているんです」とか叫びもしたいのだが・・・。

対策本部としては、まず目撃者(ヤブ医者)の言葉の真偽を確かめなければならない。その上で事件の真犯人(「ホシ」と読んでくれ!)を突き止めるのがセオリーというものだ。さもなければ、ガイシャ(ゴウ先生)の仇が討てないではないか!

目撃者は、「まず炎症を引かせた後、尿酸を下げる薬を処方しましょう」とのたまった。目撃者というものは往々にして勘違いをしているものである。ウラを取らねば、信用してはならない。

本屋だ!本屋に急げ。問題解決法はすべて本屋にある!

『痛風に効く食事』158ページ。「まずは非ステロイド系の消炎剤を用い、その後尿酸を体外に排出するもしくは尿酸を作りにくくする薬を処方するのが一般である。」

よし、目撃者のウラは取れた。ナイキサンとやらの薬を指定通りに飲もうではないか。フムフムフム、痛みが大分引いてきたぞ。靴を履いても痛くなーい。

かくなるうえは、しっかりと炎症を治してホシを逮捕してやる!

痛風を逮捕するには・・・、えーっと・・・、『痛風に効く食事』を読まねば、ね。

ギョ!尿酸値を下げるのに、最低1年、下手すれば5年から10年かかるだと。それではホシは時効になってしまう。「青島、どうする!」

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以上のような顛末で、ゴウ先生、休煙に続いて、休酒せざるを得ない羽目になった。これまで多額の税金を喫煙・飲酒によって日本国に納めてきたゴウ先生が断煙についで断酒してしまうとは・・・。日本国の税収はさらに悪化することは見え見えではある。が、仕方ない。小泉純一郎君には許してもらおう。

さらに悲惨なことに、うまいものが食べられない。ビールをグビグビ飲みながら、カルビにセンマイにミノにホルモンというわけにはいかなくなったのだ。これでは、焼肉屋にとってBSE以上の被害ではあるまいか。GDPの成長率が7%からまた元の木阿弥である。

とはいえ、ゴウ先生はそれほど落ち込んではいない。絶頂に立つことよりも苦境にいることを楽しみに出来るタイプの人間であるからだ。どん底にいるということは、後は上がるしかないと思い込めるからである。そしてそういう風に逆境を楽しめなければ、何もできないとも信じている。

確かに、高重量を使って限界まで追い込むウエイト・トレーニングは当分できない。尿酸値を急上昇させるからだ。しかし、あれほど好調であったのに、と悔やみはしない。むしろゼロから一つ一つ工夫していく楽しみがあると喜びたい。

治療に必須である減量も、ゴウ先生の北京オリンピック金メダル奪取大作戦には大いなるマイナスである。筋肉量も減るだろう。尿酸値を上げるウエイト・トレーニングのような無酸素運動を控えて、ウォーキングのような穏やかな有酸素運動をやって、酒を飲まずに、摂取カロリーを減らすのだから。

それでも、そうした減量がもたらすエクスタシーにも心は馳せる。減量の結果、かっこよく引き締まった体のゴウ先生が現われるかと思うと、我ながら嬉しくなるではないか。

幸い、血糖値も血圧も正常だし、他の合併症の可能性もいまのところは低い。ある意味毎月の血液検査が楽しみだ。自分で自分の体と心をコントロールしながら、病気から回復するというのはすごいことだから。

痛風ごときで夢は捨てない。北京オリンピック男子砲丸投げ金メダル獲得。そのために何をすればよいか、じっくり考える。

だから、窮地に陥ることを自分自身が楽しめるように日々努力する。窮地に陥っている人を救えるようにと願うINDEC総裁・珍宝教教祖の性でもある。

この意味で、INDECという私塾の経営は、ゴウ先生の天職である。なぜならば、INDECが現状に飽き足らずに大いなる可能性に賭けようとする若者たちが集う場である限り、苦境に立つバカモノたちを絶頂へと向かう入り口に立つワカモノに変える醍醐味をゴウ先生は味わえるからである。

したがって、INDECに自信満々の会員など――INDECの定義から――いてはならない。現状に不安を持っている人間だけがゴウ先生を頼って来てくれればよい。それなりの結果を出して自他ともにその実力を認められる存在になったならば、とっととINDECを出ていってもらって広い社会で活躍してもらわねば困るのだ。

さらに、残念なことに、自信満々という状態は、多くの場合、無礼な態度という形で表れる。

たとえば、先週の土曜の上映会に参加して、礼状メールを送ってこない輩が3名いる。感想文こそ要求しないが、無料で日本公開前の『ロスト・イン・トランスレーション』を見せてもらって礼状一本書いてこないとはこれいかに。

たとえば、みずほフィナンシャル・グループの留学生派遣試験でINDECは今年も2名の1次合格者を出した(スゴイでしょ!)。にもかかわらず、ゴウ先生に「ありがとうございます」とメールに書けないものがいるのはこれいかに。

ゴウ先生は、こうした会員諸君を見ると、可哀相にと思う。あたかも、うわべだけの健康体を装いつつも、痛風に蝕まれていた先週までのゴウ先生を思い出すからである。無礼のツケはいつか来る。

繰り返す。ゴウ先生は、経営のリスクを抱え込んでも、教えたくない人間には教えない。教えたくない人間とは、自信満々で、自分を変えようともせずに、無礼でいる人間だ

ゴウ先生に、困ったことは起こらない。すべてが嬉しい勉強だ。

そんなゴウ先生についてきてくれる会員が一人でもいてくれる限り、INDECは今日も明日も明後日も戦い続けるのである。よろしいか!

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