一病息災
Vol. 145 12/17/04

いやはや、よく走った。記録を調べてみると、今月の8日から15日まで8日間で116kmも走っていた。特に15日には、27km以上もトコトコ走った。

それもこれも、16日の今年最後の定期検診において納得できる成果を出して、よい年を迎えたいと願った結果である。

結果としては、暫定検査数値ではあるが、尿酸値がまたもや7.2で下止まりしてしまい、念願の7.0切りはできなかった。

しかし、失望はしていない。高尿酸値血症を抱える一病息災で生きていくことに決めたからである。

諸君も「無病息災」という言葉ならよく知っているであろう。何も病気に罹らなければ、災いはどこにもこない、という意味である。しかし、一つくらい悪いところを抱えながら生きている「一病息災」の方が、結局大きなトラブルに巻き込まれずにすむと最近方々で言われている。

ゴウ先生、この一病息災という概念をまったく正しいと思う。自分が健康だと己惚れている輩は、自分の体に過剰な期待をしてしまう。しかし、人間の体はそれほど無理が利かないものである。そして大きな破綻を起こす。それに対して、自分が病弱だと自覚している人は、慎重に己が肉体を使い、そういう不始末を生じさせない。

ゆえに、一病息災である。

思えば、一年前のゴウ先生は、いい気になって鯨飲馬食を繰り返していた。しかして、実は生活習慣病の宝庫であった。ざっと挙げると、痛風・高尿酸値血症・高脂血症・高コレステロール症・アルコール性脂肪肝・第二型糖尿病境界型となる。

それがいま、高尿酸値血症以外は、すべて完治した。今回の検査結果ではGPT22という赤ちゃん並の数字まで下がり、ゴウ先生の肝臓から余計な脂肪が一切なくなったことを教えてくれたほどだ。316日の時点では85という超異常数値を示していたのだから、ゴウ先生が抱く達成感たるや想像いただけるであろう。

かくなる上は、尿酸値を下げることに一意専心すると諸君は考えるかもしれない。しかし、いまのゴウ先生、そうは考えない。いまの尿酸値を上昇させないことだけを考える。つまり、高尿酸値血症と共存共栄を計り、その結果他の生活習慣病の再発を防ぐことの方が得策だと考えたのである。これが一病息災の極意である。

このミニ・エッセイにも再三登場してもらっている東京女子医大の左門トホホ豊作先生からは、これからは2ヶ月に一度の検診でよいという許可も得た。後はゴウ先生自身の自覚がすべてである。食事や運動の管理など決して楽ではないが、通院するストレスから比べれば、楽しいものだ。

昨年との大きな違いは、この1年の闘病生活で自分の体のことを充分に知りえたことである。ここ2ヶ月は酒も飲むようになったが、検査数値が悪化することはなかった。つまり自分に相応しい酒量が分かり、それを守れるようになったということである。

自覚のない酒は、毒薬以外のなにものでもない。それはかつてこのミニ・エッセイで書いたことでもあり、いまでも正しいと信じている。しかし、きちんと自己管理ができる飲酒は、人生に対するご褒美であることも事実だ。慎重にその辺を見極めながら、楽しませてもらおうかと思う。

言いかえれば、ゴウ先生は、酒や食べ物に対する All-or-Nothing的な生き方を卒業しようとしているのだ。いままでは、己が肉体管理に関して鼻水垂らした青二才であったがゆえに、歯止めが効かなくなる恐れのある飲酒やその他の好物(焼肉・ラーメン・もつ焼きなど)を徹底的に排除するしかなかった。しかし、これからは、こうしたものとも節度ある対応ができる自信をもったがゆえに、すばらしいお付き合いをさせてもらおうと考えているわけだ。

ああ、ゴウ先生は「自主性」を取り戻したのである。二つしかない極端な選択肢から、その中間にある無数の選択肢を選べる自由を取り戻したのである。

そうなると、矢も盾もたまらない。昨年の忘年会以来1年ぶりに、酒の専門店味のマチダヤに赴いた。流行の焼酎コーナーなど見向きもしない。今年の1月以来、飲んでいなかった日本酒だけが目当てである。

マチダヤにはまずい酒は置いてないから、問題は好みと値段だけである。

すると、店長が磯自慢の一升瓶を持って倉に入ってくる。値段は、ナント、1980円!静岡が生んだスーパースター日本酒がこんな値段で・・・。

店長に訊ねると、静岡の地元だけで元来流通していたものだとか。当然、ゴウ先生も飲んだことがない。ゴウ先生が普段好まない醸造アルコールを添加した(通称アル添)本醸造タイプであるが、そんなことはどうでもよい。感即動である。購入決定だ。

アル添を買ったら、後は純米タイプが欲しい。するとこれも静岡を代表する正雪の純米吟醸酒が置いてある。これは以前飲んだことがある。澗酒でもいけるしっかりとした酒だったはず。一升で2835円。やはりリーズナブル。購入決定。

ゴウ先生は、この安くてうまい酒をPANCの連中に飲ましてやろうと思った。週末の英語のクラスに加えて、木曜の夜も勉強に来る諸君は、貴重なINDECの同志である。2004年最後のクラスをうまい日本酒で〆るのは悪くない。

そして来てくれたIS君と一献。休んだ奴等には申し訳ないが、来た諸君だけが得をするのが、INDECIS君は、嬉しそうに、飲めない酒を飲んで、いっぱい喋った。

ゴウ先生はと言えば、磯自慢の本醸造があまりに1980円離れしているので、腰を抜かした。これなら、3980円でも腹が立たない!でも飲めないIS君相手だから、正雪は開けずじまいだ。

それでも、仕事上のことでショボクレていたIS君も元気を出してくれた。INDECに入ってほぼ4年。やっとゴウ先生と二人きりで初めて飲める事実に感動しまくった結果だ。可愛い奴よのお。

それもこれも、彼がゴウ先生に普段から常にホウレンソウを怠らず、自分の欠点・ビョーキを自覚し、それと仲良くしようとしてきたからである。つまりは一病息災の精神でいたからだ。

INDECに通う以上、諸君は欠陥とビョーキのオン・パレードなのである。そして、それを治しさえすれば、諸君は諸君のビジョンを達成できる。ゆえに、名医であるゴウ先生の云うことを聞けと繰り返し言うわけだ。それを素直に聞けた諸君は、必ず伸びたと力説するわけだ。そして、IS君のように、たまにはご褒美ももらえるわけでもある。

よろしいか、諸君。無病息災を望むなかれ!そんな贅沢を望んだら最後、諸君の足は地面から離れ、データ&ファクツの根拠をなくし、絵空事の世界に舞い上がる。その結果、自分の力を過信した可愛い気のないバカモノになりはててしまうのだ。

健康ではないと謙虚に考えよ。そして、病人特有の甘えや頑固さは排除することだ。自分のビョーキの治療に役立つことなら、素直に耳を貸す患者になることだ。

生意気なのは許す。尖がるのも許す。しかし、ゴウ先生、ゴーマンで感謝知らずは許さない。なぜなら、そういう輩は、可愛い気をなくし、運をなくすからである。

一病息災。そんな師のもとに来年すばらしいことが起こる。あやかれ、諸君も。よろしいか!

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